NST便り-第47報-

二次性骨折予防における多職種連携

2022年度の診療報酬改定において,継続的な二次性骨折予防に係る評価として,「二次性骨折予防継続管理料」が新設されました.

これは大腿骨近位部骨折患者に対して,関係学会のガイドラインに沿って継続的に骨粗鬆症の評価を行い,必要な治療などを実施した場合に算定できるものであり,急性期病院,回復期病院,そして診療所が連携しながら骨粗鬆症治療の評価・継続を行っていくことが求められています.そのためには多方面からの集学的アプローチが不可欠であり,医師のみならず看護師,薬剤師,理学療法士,管理栄養士などが連携する「骨折リエゾンサービス(FLS)*」の実施がカギになります.

 

 当院でも2022年7月よりFLSチームを中心に新たなシステムを構築しました.

放射線科ではDXA装置での骨密度測定,リハビリテーション部門では転倒リスク評価,サルコペニア評価など,骨折や転倒のリスクを評価します.治療が必要な例には,骨粗鬆症治療を開始し,運動指導,転倒予防,患者教育をコーデイネートしていきます.退院後の医療連携もチームで行っていくのです.

また,高齢者の脆弱性骨折患者の多くは低栄養状態です.しかし,骨粗鬆症や脆弱性骨折は入院中の栄養指導の診療報酬加算の対象になっていません.もちろん,栄養指導が算定できる何らかの疾患を合併している場合も多いが,そういった既存症がなくても栄養指導が算定できることが本来は望ましいと考えます.

私は,このようにボランティア的に行うのではなく「NST栄養サポートチーム」との多チーム連携を行うことで問題も解消されると思われ,今後の重要な方向性を示していると考えています.

町田 実

 

*骨折リエゾンサービス(Fracture Liaison Service: FLS

リエゾンとは「連続,連系」と訳されるフランス語であり,医師および多職種のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する骨粗鬆症の予防と改善および骨折予防の取り組みである.

 

文献

日本医師会雑誌第151巻・第11号 大腿骨近位部骨折患者における二次性骨折予防の実際

○大腿骨近位部骨折二次性骨折予防の現状 

東京大学大学院医学系研究科整形外科学     田中 栄

○大腿骨近位部骨折患者の二次性骨折予防の重要性 

鳥取大学医学部保健学科                            萩野 浩

○脆弱性骨折治療のケアギャップ

医療法人社団愛友会 伊奈病院                 石橋 英明