ヒトの歯と食事内容の関係
先ず,ヒトの歯の種類,数(合計28~32本),機能を確認してみますと,以下の通りです.
・切歯 2対で上下の合計 :8本 ;野菜や果物等を嚙み切る.
・犬歯 1対で上下の合計 :4本 ;魚や肉を噛みちぎる.
・臼歯 4~5対で上下の合計 :16~20本 ;穀物や豆類をすり潰す.
次に,ヒトの歯の数の総数に対する比率と機能に合わせた食事内容を,考えてみます.
・切歯 8本で総数に対する比率 :25% ;野菜や果物.
・犬歯 4本で総数に対する比率 :12.5% ;魚や肉類.
・臼歯 16~20本で総数に対する比率 :62.5% ;穀類や豆類.
ここで,厚生労働省が定めている食事摂取基準による総エネルギー量に対する必要量(私たち管理栄養士は,この基準に基づいて集団給食の献立を作成します.)と比較してみます.
・切歯 25% ;野菜や果物.
・犬歯 12.5% ;魚や肉類 ;食事摂取基準による必要たんぱく質量13~20%.
・臼歯 62.5% ;穀類や豆類 ;食事摂取基準による必要炭水化物量50~65%.
以上から、歯の比率と食事摂取基準とを比較すると,ほぼ一致していることがわかります.
申し添えますが,食事摂取基準の算定根拠は,歯数の総数に対する比率には言及しておらず,あくまでも,各栄養素の摂取不足を回避するとともに,生活習慣病の発症予防および重症化予防を目的とするものです.
偶然の一致なのかもしれませんが,人間の体は合理的にできていると,感心した一例を紹介いたしました.
管理栄養士 町田郁子