NST便り-第32報-

ヒトの歯と食事内容の関係

 先ず,ヒトの歯の種類,数(合計28~32),機能を確認してみますと,以下の通りです.

・切歯 2対で上下の合計 :8                 ;野菜や果物等を嚙み切る.

・犬歯 1対で上下の合計 :4                 ;魚や肉を噛みちぎる.

・臼歯 4~5対で上下の合計 :16~20         ;穀物や豆類をすり潰す.

 

 次に,ヒトの歯の数の総数に対する比率と機能に合わせた食事内容を,考えてみます.

・切歯 8本で総数に対する比率 :25                野菜や果物

・犬歯 4本で総数に対する比率 :12.5             魚や肉類

・臼歯 16~20本で総数に対する比率 :62.5             ;穀類や豆類

 

 ここで,厚生労働省が定めている食事摂取基準による総エネルギー量に対する必要量(私たち管理栄養士は,この基準に基づいて集団給食の献立を作成します.)と比較してみます.

・切歯 25 ;野菜や果物.

・犬歯 12.5 魚や肉類        ;食事摂取基準による必要たんぱく質量1320

・臼歯 62.5 穀類や豆類  ;食事摂取基準による必要炭水化物量5065

 

 以上から、歯の比率食事摂取基準とを比較すると,ほぼ一致していることがわかります.

 

 申し添えますが,食事摂取基準の算定根拠は,歯数の総数に対する比率には言及しておらず,あくまでも,各栄養素の摂取不足を回避するとともに,生活習慣病の発症予防および重症化予防を目的とするものです.

 

 偶然の一致なのかもしれませんが,人間の体は合理的にできていると,感心した一例を紹介いたしました.

 

管理栄養士  町田郁子