NST便り-第33報-

みなさんこんにちは.言語聴覚士の小松です.

今回は“咀嚼”についてお話しいたします.

“咀嚼”とは食物を歯で噛み,粉砕することを言います.

みなさんは食事の際,よく噛んで食べていますか?現代人は「噛む力が弱くなった」「噛まなくなった」と言われています.1回の食事での噛む回数を比べてみると,弥生時代は約4000回,現代は約600回と大幅に減っているのです.これは,昔に比べると柔らかい食べ物が増え,食生活が変化したことが影響していると言われています.確かに,街中でも「とろける〇〇」「生△△」「ふわふわ」など柔らかくて美味しそうな食べ物が溢れています.

しかし噛む回数が減った現代人は,医療が発達したことにより「長生きはできるが不健康な人も数多くいる」という状況になっているそうです.

そこで今回はより健康で過ごせるよう,噛むことによる効果を紹介します.

①肥満防止:ゆっくりよく噛むことで食べ過ぎを防ぎ,肥満防止につながります.

②味覚の発達:食べ物の形や固さを感じることができ,味がよくわかるようになるなど,味覚が発達します.

③言葉の発達:口周りの筋肉をよく使うことで,顎の発達を助け,表情が豊かになったり,言葉の発音がきれいになります.

④脳の発達:脳血流が増えるので,子供は脳が発達し,大人は物忘れを予防することができます.

⑤歯の病気予防:よく噛むことで唾液がたくさん出ます.唾液には食べかすや細菌を洗い流す作用もあり,虫歯や歯肉炎の予防につながります.

⑥がんの予防:唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素が,食品の発がん性を抑えるので,がんの予防につながります.

⑦胃腸快調:消化を助け,食べ過ぎを防ぎます.また胃腸の働きを活発にします.

⑧全力投球:身体が活発になり,力いっぱい仕事や遊びに集中できます.

この8つの効果の頭文字を取って日本咀嚼学会では「ひみこの歯がいーぜ」という標語も作られています.

是非みなさんも,よく噛んで元気に過ごしましょう!