NST便り-第52報-

ナトリウム

だんだんと寒くなり,温かい食べ物が恋しい季節になってまいりました.

 温かい食べ物といえば私はラーメンが好きですが,また年齢も40歳になり検診の血圧値も上がってきたこともあり,食塩摂取量が気になるようになりました.このため,買い物時に,食品に記載されている食塩相当量を気にするようになってまいりました.

 買い物時にチェックした限りでは,カップラーメンは食塩相当量6 gぐらいのものが多く,内訳としては麺・かやくが2 gでスープが4 gぐらいになります.

試しにスープを飲まないで麺だけを食べてみましたが,それでもスープは4分の1くらい減っていましたので1 gぐらいで,合計3 gは摂取することになると思われます.

 その他の食べ物としてはおにぎり1.5 g,総菜パン2 g,菓子パン1 gぐらいのものが多かったです.

 厚生労働省の日本人摂取基準での目標量は男性7.5 g未満,女性6.5 g未満となっています.

 食塩摂取過多に対して,経口摂取量低下や脱水を示唆する低ナトリウム血症も重要です。

ちなみに当院のNSTではナトリウム値135 mEq/Lを基準にスクリーニングを行っており,この低ナトリウム血症の患者が実は多くみられます.その場合は練り物や佃煮などによるナトリウム負荷の提案や患者の嗜好を確認し、食事摂取量が増えるための提案などを行い対応しております.

 

薬剤科 中陳貴史

NST便り-第51報-

4回日本病態栄養学会 北海道地方会

2023年10月7日 市立札幌病院 2階講堂におきまして,第4回日本病態栄養学会 北海道地方会が開催されました.

12題の一般演題と特別講演がありました.

当院からは

①服用薬剤の嚥下機能への影響

第2報:嚥下障害の有無と服用薬剤の関係

中陳貴史,黒川泰任,小松結愛,野陳佳織,澤口千晴,小金澤なぎさ,中嶋光代,谷藤方俊

②高齢者における高アンモニア血症

黒川泰任,山本みお,町田 実,津川由紀,松﨑美咲,鈴木健介,坂 典明,谷藤方俊

を発表いたしました.

特別講演は

川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学 佐々木 環 教授による

高齢者CKDへの戦略 どうする北海道の管理栄養士

を拝聴いたしました.

 

また,昨年第3回の特別講演に続いて,本年も

日本病態栄養学会 清野 裕 理事長の臨席も賜りました.

引き続き,NST活動の必要性・重要性を再認識しました.

NST便り-第50報-

NST加算に必要な資格取得のために,2023年9月12, 13日,9月19, 20日の4日間,札幌徳洲会病院より,臨床研修に来られました.

大変お疲れ様でした.研修の感想をいただきました.

札幌徳洲会病院 管理栄養士の村田真帆と申します

この度は貴院にて2023年9月12日,13日,19日,20日と4日間NST研修をさせていただきありがとうございました.今回1人での研修ということもあり心細かったですが,管理栄養士の津川先生をはじめNSTメンバーの皆様にはとても優しくしていただき感謝しております.津川先生や薬剤師の中陳先生の講義はとても勉強になりました.中でも中陳先生の講義では薬剤による嚥下機能への影響やNSTにおける薬剤師の関わりなど,管理栄養士の私にとっては普段は知り得ることのできない機会であったため,とても貴重な時間でした.

谷藤病院ではNST以外にも普段から多職種が協力する体制がとれていることに感銘を受けました.患者さんの栄養管理や早期退院に向けて多職種でコミュニケーションをとることで疑問や沢山の気づきが生まれるため,チーム医療の大切を改めて感じました.

また指導医である黒川先生にも沢山ご指導をいただきました.栄養の基礎知識が不足しており申し訳ありませんでした.自分で考え,答えることがとても重要であると今回の研修で身に沁みました.

NSTの回診の際には実際に患者さんの手足に直接触れ,皮膚の状態や浮腫の確認,上腕周囲長,皮下脂肪厚の計測もさせていただきました.中には骨密度測定をする患者さんがおり,それに合わせて医療機器であるDXAの見学もさせていただき,実際に骨密度測定の結果や体組成測定の結果も併せて教えていただきました.普段ではできない体験でありとても貴重な時間でした.

今回の研修では当然ではありますが全てが初めてのことばかりでとても良い刺激となり濃厚な時間でした.この度の経験を元にこれからも勉学や,患者さんの栄養管理に努めていこうと思います.

谷藤病院の皆様,お忙しい中貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました.

NST便り-第49報-

熱 中 症

お久しぶりです.管理栄養士の津川です.

今年の夏は暑く,熱中症で入院される方も多い印象でした.私自身も初めて熱中症を体験したので,反省を兼ねてお話したいと思います.

この日は晴天で風もなく,30℃超えで湿度の高い日でした.野外でのイベントに参加しており,常に太陽の下で動いていました.

最初は汗が流れっぱなしで「暑いからだろう」と思っていました.しかし,段々と汗は止まり,次第に気持ちが悪くなり,「何かおかしいな」と思っていた矢先に,吐き気やふらつきを感じました.そしてついに立っていられなくなり,ベンチに座り込んでしまいました.

「体調が悪いかもしれない」と思ってから立っていられなくなるまでは,あっという間だったと思います.

その後すぐに冷たい飲み物とかき氷を口にし,体を冷やし,少し休んで無事に回復することが出来ました.その日は何人も救護室に運ばれたり,駆け込んだりしていたようです.

熱中症は高齢者や子供に多いと言われています.水分もこまめにとるようにしていたし,「まさか自分がなるなんて…」と猛省しました.

 翌日も同じような天気でしたが,暑さ対策を万全にしていくことで,最後まで楽しむことが出来ました.

正直,軽症でもこんなに辛いとは思ってもいませんでした.

来年も同じような暑さ,或いは上回る暑さがやってくるかもしれません.熱中症は誰にでも起こりうる侮れない「外傷」だと身をもって体験しました

NST便り-第48報-

NST`実施および加算のための資格研修に,岩見沢市立栗沢病院より,2023年7月25,26日,8月15,16日の4日間,3名の方が当院で研修されました.

 大変お疲れ様でした.

 研修の感想をいただきました.

NST研修を終えて

岩見沢市立栗沢病院 看護師 小林亜希子と申します.

 この度,当院で新たに立ち上げるNSTのメンバーと,7月25日,26日,8月15日,16日の計4日間,研修に参加させていただきました.

 NSTについては浅い知識しかありませんでしたので,実際に活動を見学,体験させていただいたことは,大変有意義な経験となりました.

 様々な職種が専門の視点から意見交換することにより,患者様の全体像の把握と必要な栄養,援助を見出すことができ,それが全身状態の改善に寄与することになると実感しました.また実際に患者様に触れて対話をすることも,より個別性を重視した栄養管理につながるのだと分かりました.

 先生方の講義では,知識の学び直しをし,栄養状態の評価方法やDXAなど新しい知識にも触れ,良い刺激となりました.

 NSTの意義について学べた貴重な4日間でした.今後,NSTのメンバーとして今回学ばせていただいたことをしっかりと活かしていきたいと思います.

 ご指導いただきました黒川先生,津川先生,髙橋先生,中陣先生,NSTの皆様,NST回診・ST訓練で見学させていただきました患者様,スタッフの皆様に心より感謝申し上げます.

NST研修を終えて

岩見沢市立栗沢病院 看護師 鎌田美和と申します.

 7月25日・26日,8月15日・16日の合計4日間,江別谷藤病院のNST研修に参加させていただきました.

 黒川先生をはじめ,管理栄養士の津川さん,薬剤師の中陣さん,摂食嚥下障害認定看護師の髙橋さんの講義は,とても勉強になりました.特に黒川先生の講義は,たくさんの質問を投げかけて頂いたのに答えられず申し訳ありませんでした.何もわからない私を最期まで見捨てずにご指導いただけたことを心から感謝しています。NST回診では,チームの皆様が情報を共有し連携して患者様に必要なことを提案していく過程を学ばせていただきました.患者様にも実際に触れて上腕周囲長と皮下脂肪厚の計測,皮膚の乾燥や浮腫の触診を体験させていただきました.DXAを体験させていただき貴重な経験をすることが出来ました.

 この度の研修で学ばせていただいたことを活かして,栗沢病院のNSTチームの一員として頑張っていきたいと思います.

岩見沢市立栗沢病院 薬剤科 薬剤師 北河と申します.

 2023年7月25,26日,8月15,16日の4日間,江別谷藤病院でのNST研修に参加させていただきました.

 ご指導下さった黒川先生からはたくさんのことを教えていただきました.患者さんの状態を知るために,実際に見て・触れて・対話して,診ることがいかに大切であるか,そして疑問を持つ・頭を使って考えることの大切さを実感いたしました.また,患者さんの栄養状態の改善に向け,多職種の皆さんが協力し合って多方面から状況を共有し,考えられる問題点を見出し,解決に向けて提案されており,チームの重要性を感じました.

 摂食嚥下障害認定看護師の髙橋先生からは口腔ケアの重要性について,薬剤師の中陳先生からは薬剤による嚥下機能への影響について,管理栄養士の津川先生からは検討段階とのことでしたがDXAがなくても代用として簡便に四肢筋肉量の推測ができる計算式のお話をして下さいました.また,DXAでの測定や,嚥下訓練の見学もさせていただき,とても学びの多いものとなりました.

 回診時には患者さんの手足に直接触れて皮膚や浮腫等の体の状態の確認や,上腕周囲長や皮下脂肪厚を測らせていただきました.日常業務では患者さんに触れることはなかったので,緊張もしましたが,貴重な機会をいただきました.快く研修に協力してくださった患者さまに感謝申し上げます.

 今後,当院でNSTを立ち上げ・始動した際には,研修で学んだことを活かしてチームの一員として患者さんの役に立てるよう頑張ってまいりたいと思います.

 指導医の黒川先生,管理栄養士の津川先生,NSTチームの皆様,今回の研修に関わってくださった皆様,お忙しい中,濃密で貴重な学びの場を本当にありがとうございました.心から感謝申し上げます.

NST便り-第47報-

二次性骨折予防における多職種連携

2022年度の診療報酬改定において,継続的な二次性骨折予防に係る評価として,「二次性骨折予防継続管理料」が新設されました.

これは大腿骨近位部骨折患者に対して,関係学会のガイドラインに沿って継続的に骨粗鬆症の評価を行い,必要な治療などを実施した場合に算定できるものであり,急性期病院,回復期病院,そして診療所が連携しながら骨粗鬆症治療の評価・継続を行っていくことが求められています.そのためには多方面からの集学的アプローチが不可欠であり,医師のみならず看護師,薬剤師,理学療法士,管理栄養士などが連携する「骨折リエゾンサービス(FLS)*」の実施がカギになります.

 

 当院でも2022年7月よりFLSチームを中心に新たなシステムを構築しました.

放射線科ではDXA装置での骨密度測定,リハビリテーション部門では転倒リスク評価,サルコペニア評価など,骨折や転倒のリスクを評価します.治療が必要な例には,骨粗鬆症治療を開始し,運動指導,転倒予防,患者教育をコーデイネートしていきます.退院後の医療連携もチームで行っていくのです.

また,高齢者の脆弱性骨折患者の多くは低栄養状態です.しかし,骨粗鬆症や脆弱性骨折は入院中の栄養指導の診療報酬加算の対象になっていません.もちろん,栄養指導が算定できる何らかの疾患を合併している場合も多いが,そういった既存症がなくても栄養指導が算定できることが本来は望ましいと考えます.

私は,このようにボランティア的に行うのではなく「NST栄養サポートチーム」との多チーム連携を行うことで問題も解消されると思われ,今後の重要な方向性を示していると考えています.

町田 実

 

*骨折リエゾンサービス(Fracture Liaison Service: FLS

リエゾンとは「連続,連系」と訳されるフランス語であり,医師および多職種のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する骨粗鬆症の予防と改善および骨折予防の取り組みである.

 

文献

日本医師会雑誌第151巻・第11号 大腿骨近位部骨折患者における二次性骨折予防の実際

○大腿骨近位部骨折二次性骨折予防の現状 

東京大学大学院医学系研究科整形外科学     田中 栄

○大腿骨近位部骨折患者の二次性骨折予防の重要性 

鳥取大学医学部保健学科                            萩野 浩

○脆弱性骨折治療のケアギャップ

医療法人社団愛友会 伊奈病院                 石橋 英明

NST便り-第46報-

NST研修

 

2023年6月に岩見沢市立栗沢病院から2名の方がNSTの実地研修にこられました.

実習の内容や感想などをいただきました.

今後も自院でご活躍下さい.

 

 今後のやる気につながったNST研修

 

岩見沢市立栗沢病院 看護師長の髙柳と申します.

今回,2023年6月20日と21日,2023年6月27日と28日の4日間研修をさせていただきました.

 岩見沢市立栗沢病院では,今年度以下の①~③に力を入れて取り組んでいます.

  • NSTの立ち上げに向けた取り組み

(立ち上げに向け,管理栄養士1名,薬剤師1名,看護師3名が研修参加)

  • 摂食嚥下に関する取り組み

(嚥下造影や嚥下内視鏡で嚥下機能を評価し,個別性に応じたプランを立案して摂食嚥下訓練を実施している)

  • 口腔内の状態把握とケアの充実

(近隣歯科と協力体制を取り,歯科治療や口腔内のケアに関する指導をしていただいている)

 「新たな取り組みとして立ち上げるNSTに向け,率先して活動したい」,また,栄養管理について学習し,患者の栄養状態を維持あるいは改善するように「チームでどのように活動しているのかを学びたい」と思い,研修に参加しました.

 栄養状態の評価は,様々なデータや患者様の身体状況・使用薬剤の把握など,患者様の全体像を捉え,様々なコメディカルスタッフ間でカンファレンスすることで,患者様に必要な援助を見つけ出すことができると実感しました.今後の活動に向けて,栄養について学習していきたいと思います.

黒川先生をはじめ,4日間担当して下さった管理栄養士の津川様,口腔ケアについて講義をしてくださった外部講師の高橋様,薬剤と栄養の関係について講義をしていただいた薬剤師の中陳様,回診や摂食訓練で見学させていただいた患者様,症例発表会に出席して下さった皆様に深く感謝いたします.黒川先生の質問には,学習不足で答えられないことばかりでしたが,楽しい時間を過ごすことができました.

ありがとうございました.

 

NST研修を終えて

 

岩見沢市立栗沢病院 管理栄養士の松山知恵美と申します.

 栗沢病院では2023年4月より,新院長が就任いたしました.新しい取り組みの一つであるNST活動の導入を目指し,江別谷藤病院様で行われているNST研修会に参加させて頂きました.

研修期間は4日間でしたが,とても充実した研修会でした.

黒川先生,素敵なご講義を頂きありがとうございました.

栄養とは何か,NSTとはどのような活動であり,どのように取り組むべきなのかなど,たくさんのことを教えて頂きました.

患者様の栄養状態から考えられる病状を読みとり,表情や身体動作の違和感,口腔内や皮膚の状態など,患者様をあらゆる角度からしっかり診ることが大切であること.また,患者様にとって最適な栄養療法とは何なのか,多職種で知恵を絞り,発言し合いながら検討し実施していくことが重要であることなど,多くのことを学ばせて頂きました.

NST回診では,患者様の触診中もコミュニケーションを取り,患者様はとても笑顔でご自身のことを話され,それと同時にNSTメンバーが最適な栄養療法の方針を検討されていらっしゃいました.患者様にあまり不安を与えずに,身体状態はしっかりと診察されていることに,とても感銘を受けました.

栗沢病院のNST活動が開始した時には,今回学ばせて頂いたことをしっかりと活かし,【栗沢病院 栄養お助け隊】の一員として,栄養部門の最適な栄養療法が提案できるよう努力していきたいと思っております.

ご指導頂きました黒川先生,管理栄養士の津川先生,薬剤師の中陳先生,また,医療スタッフの皆様,回診させて頂いた患者様,貴重なお時間を頂き誠にありがとうございました.感謝の気持ちでいっぱいです.

 

NST便り-第45報-

NST構成委員としての臨床研修

 当院は日本病態栄養学会「栄養管理・NST実施施設」および「栄養管理・指導実施施設」 認定規約に基づいて,日本病態栄養学会よりNST研修施設の認定を受けています.

 前回に引き続き,さらに2名の方が無事研修を終了されました.お疲れ様でした.自院で栄養,経口摂取,嚥下などの分野で益々ご活躍下さい.

 

研修に対する感想などをいただきました.

                                         黒川泰任

 

NST研修を終えて

 

札幌市の啓生会病院 管理栄養士 井田順子と申します.

7月4日・5日と11・12日の4日間 江別谷藤病院のNST研修に参加させて頂きました.

NSTのスタッフが自然に連携して患者様に医療を提供し,その中でお互いの知識を高めている姿を見せて頂きました.黒川先生はじめ栄養士・薬剤師・摂食嚥下障害認定看護師の方々のすぐに役立てる内容の講義を聞く機会を得ました.また,MRIやDXA等の医療機器も詳しく見せて頂き,通常ではできない体験をすることが出来ました.黒川先生には視野を広げて頂いたと感謝しております.この数日間で本当に多くの事を学ばせて頂きました.今回の貴重な経験を日々の業務に活かして参りたいと思います.

ご指導頂きました黒川先生,栄養サポートチームの皆様,事務長様,NST回診で勉強させてくださった患者様,今回の研修でお世話になった江別谷藤病院の皆様に感謝申し上げます.

 

 

啓生会病院 薬剤師 横田裕子と申します.

この度は貴院にてNST研修をさせていただきありがとうございました.

黒川先生の盛りだくさんの講義をはじめ,中陳先生や津川さんの講義は大変勉強になると同時に良い刺激になりました.

 口腔ケアの講義では,実際の患者様の口腔内の様子をオブラートRを使って体験させていただき,口腔ケアの大切さを実感いたしました.何より回診では患者様が笑顔で快く研修に協力してくださったことはとても有難く,大変貴重な経験となりました.患者様を自分の目で診ること,そしてコミュニケーションを図ることで様々な気づきや疑問が生まれます.

多職種連携で病態を探り情報交換を行うことで早期回復に努めていくというチームの重要性を切に感じる4日間でした.学ばせていただいたことを当院での活動に役立てられるよう邁進してまいります.

今回の研修に際しましては,お忙しい中,黒川先生やスタッフの皆様にご尽力いただけたこと心から感謝しております.

お礼文にて失礼いたします.

         

2023年7月14日 

啓生会病院薬剤師 横田裕子