NST便り-第36報-

骨粗鬆症

皆様も聞いたことがあると思いますが,「骨粗鬆症」という病気をご存じでしょうか.簡単に言うと,骨がもろくなり骨折しやすい状態をいいます.特に女性は生まれつき骨格が小さくて筋力も弱く,妊娠や授乳などカルシウムを多く失う機会があります.さらに閉経期になると,卵巣からでる女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少します.エストロゲンは骨の吸収を抑制する作用があるため,欠乏することにより骨がスカスカになります.

骨粗鬆症になることで転倒などにより腰や大腿骨の骨折をしやすくなります。骨折すると長期臥床や筋力低下によりADLが悪化し寝たきりになってしまう方もいます。そのため、骨粗鬆症の予防が大事になってくるといえるでしょう.

骨粗鬆症の予防には①カルシウムの摂取,②ビタミンDの体内合成,③骨に刺激の加わる運動,が推奨されています.

①については,カルシウムを多く含んでいる小松菜などの緑黄色野菜,ひじきなどの海藻類,豆腐などの大豆製品がおすすめです.しかし,ただ摂ればよいというわけではなく,それ以外にも主食・主菜・副食とバランスの取れた食事をとることも大切です.また,牛乳・乳製品はカルシウムの供給源として吸収率が良いといわれています.

②のビタミンDは骨の石灰化を促進し骨密度を増加させる働きを持っています.食事で摂取するものと皮膚が紫外線を浴びて合成されるものがあります.食品としてはキノコや魚類など含まれているものが限られます.摂取が難しい場合はサプリで補うことも可能ですが,過剰摂取による高カルシウム血症や高カルシウム尿症などの弊害もあるため,摂取には注意が必要です.

③については,は物理的な刺激が加わることで微量な電流が骨に伝わり強度が増すといわれています.ウォーキングやジョギングのような重力のかかる運動が効果的だと考えられています.また,筋力トレーニングによっても骨に刺激が伝わるため,重りを持ち上げるなど筋肉が強く収縮する運動が効果的といわれています.仕事や家事で忙しく,運動する機会は減少しがちですが,1日5~10分テレビをみながらでも簡単な運動を日常に取り入れてみることをお勧めします.

 いずれも,やりすぎや摂りすぎはかえって体に悪いこともあります.自分のペースで運動をしたり,自分にあった食事やサプリの摂取をしていくようにしてください.

 

看護師 松崎美咲