NST便り-第28報-

皆さんはじめまして!今年の7月よりNSTに加入した看護師の松崎と申します

今年も残すところおよそ2か月となり,北海道の早い冬が訪れようとしています.そんな冬にも「脱水」が起こりうることを皆さんはご存じでしょうか?

脱水というと暑い夏のイメージが強いかもしれませんが,実は冬でも脱水を引き起こすリスクがあります.その1番の理由は,空気の乾燥が挙げられます.最近の住宅は気密性が高いうえ,エアコン・ストーブなどの暖房器具の使用によりさらに湿度が低下します.乾燥した環境では,皮膚や粘膜,あるいは呼気から自覚がないまま水分が失われる「不感蒸泄」が増えます.つまり冬場では日常の室内生活で知らないうちに,体から失われる水分量が増えている可能性が高いのです.

加えて冬は水分を失っている自覚が少ないため,夏場に比べて水分摂取量が減少傾向となります.「体感温度が低いと喉の渇きを感じにくい」,「体を冷やしたくない」などの理由で水分摂取を控えてしまいます.

このように、空気の乾燥による不感蒸泄の増加・水分摂取量の減少が同時に起こりうる冬は,日常的に脱水のリスクと隣り合わせであることに注意が必要です.

脱水の症状としては,皮膚の乾燥,口腔内乾燥,倦怠感,活気がなくなる,眩暈や立ち眩みなどがあります.

冬場の暖房の効いた部屋で長時間過ごすときの脱水予防としては,喉の渇きを感じる前にこまめな水分補給を心がけることが重要です.不感蒸泄では電解質はあまり失われないため,日常生活における脱水予防としては,温かい白湯などの体を温めつつ水分を補える飲料が良いと思います.また,室内の湿度を高く保つことも必要です.食餌には,ホウレン草や小松菜のような電解質・水分が豊富な緑黄色野菜や果物を摂るのもいいかもしれません.

そして冬はインフルエンザや感染性胃腸炎の流行時期でもあります。嘔吐や下痢,高熱で発汗したときには,水分と共にナトリウムやカリウムなどの電解質も失っているため,水を大量に飲むだけでは適切な水分補給ができません.水だけを大量に飲むと一旦は体液量が増えますが体液に含まれる電解質の濃度が下がり,体液濃度を一定に保とうとする体の仕組みで水分のみが排出されるため,脱水状態から回復できなくなってしまいます.水分と共に電解質を失っているときには、水だけを飲むのではなく,電解質を含む飲料(スポーツドリンクや経口補水液)で補水することが重要です.

感染症に目が向いてしまうご時世ですが,バランスの良い生活を心がけ,「冬の脱水」による体調不良にも気を付けていきましょう.

看護師 松崎美咲