NST便り-第18報-

カニとエビ

北海道はカニとエビという食材に恵まれています.
おせちのアイテムとしても重要ですが,食べながらその味の違いを生物学的に考えてみましょう.

①タラバガニ
大きくてカニの王様で,文字通り(red) King Crabです.
長生きで,食べられなければ寿命100歳以上とも.
生物分類学的には,エビ目(=十脚目)ヤドカリ下目
ヤドカリなので「かに味噌」がおいしくない.
足は4対にみえますが,5対で(=十脚目),第1歩脚がハサミで右が大きい.第5歩脚は小さくて外見からは見えない,だから,タラバは足8本とよく勘違いされています.

②ハナサキガニ
なんと分類上はタラバガニの仲間で,ヤドカリ下目
そう考えると味も似ています.

③ケガニ
実際の所,味ではカニの王様.
エビ目カニ下目.足ははっきり5対.
カニなので,かに味噌も美味.

④ロブスター
=オマールエビ(フランス語のハンマーから).
エビ目ザリガニ下目.
第1歩脚が強大=大きなはさみが特徴.長い触角は第2触角.

⑤イセエビ
エビ目イセエビ下目
オマールと比べて大きなはさみがありません.
「伊勢えび」は新年の季語.

⑥ボタンエビ
本来の日本固有種のボタンエビは,宮城県以南の太平洋岸に分布.学名はPandalus nipponensis Yokoyaで,意味は「横屋さんが見つけた日本のたらばえび」という意味.今ではほとんど採れない.
北海道でボタンエビと呼ばれる地物は,北海道沿岸,日本海側に分布する仲間のトヤマエビ(日本固有種ではない).
生物学的には同分類で,もちろんエビ目=十脚目.

⑦ホッカイ(シマ)エビ
縦縞が特徴.
タラバエビ科のエビやカニは深海に分布するが,このエビは沿岸の浅瀬に生息(藻を食べて藻の中に生息).

というわけで,少し味わいが変わりましたね.

黒川泰任